アーキテクトレビューボード事前評価(Technical Architect Evaluation)について
Journey To CTA、Salesforce 認定テクニカルアーキテクトを目指して、ソーシャルやコミュニティで日々活動しています。
コミュニティでの活動の模様(2022年)はこちらの記事で言及していますのでご参考まで。 murphyfox.hatenablog.com
Salesforce認定テクニカルアーキテクト(略称CTA)への道がどれほどに険しいか、については、2020年上期にCTAに合格された讃岐さん( Ikou Sanuki (@i_sanuki) / Twitter )が残してくださった記事から読み取れます。この記事では讃岐さんが実践された勉強方法、読んだ方がいいコンテンツ、試験テクニックを丁寧に紹介してくださっています。 まずはこれが必読、スタートラインです。
2022年、CTAレビューボード試験の仕組みが少し変わり、受験者はまず、「アーキテクトレビューボード事前評価」を受験することとなりました。また、入手できる情報も増えています。この記事では2022年12月時点での情報を残すことを目指します。
この記事で伝えたいこと
以下の3点です。
- 【知る】試験内容のキャッチアップを。事前評価では試験の対象範囲がより明確に
- 【備える】以前より入手できる情報は増えた。あらかじめ準備できることは準備しよう
- 【マインド】試験テクニックだけでは合格できない。本質を知り、学び続け、継続してアップデートするマインドを持とう
それぞれについて言及してまいります。
【知る】試験内容のキャッチアップを。事前評価では試験の対象範囲がより明確に。
まずは、対象である試験の内容を知ることが大事です。求められる分野・内容を知り、自分自身とのギャップを確認しましょう。
受験ガイド、Salesforce アーキテクトプログラム FAQ
アーキテクトレビューボード事前評価もSalesforceの認定資格ですので、規定に従って実施されます。公式の情報は、受験ガイド(Quip化されましたね)、受験ガイドからリンクされる詳細ページ、Salesforce アーキテクトプログラム FAQ の3点が見つかります。
事前評価・試験日の時間割
公式の情報には以下のように記載があります。
60分:シナリオの読解とソリューションの設計、詳細決定、正当性の提示
30分:ソリューションのプレゼンテーション
30分:質疑応答
30分:フィードバック、ディスカッション
試験はオンラインで行われます。実際には、事前の環境確認の時間、紙に作図した成果物をメール送信する時間、休憩時間、作成した成果物を破棄する時間、バッファ、も設けられていました。試験をスケジュールしたときにトレイルヘッドアカデミーのご担当者から案内していただけます。
事前評価・試験の範囲
受験ガイドのうち、特にシステムアーキテクチャ、データ、インテグレーション、ソリューションアーキテクチャ、セキュリティ分野のスキルが求められます。
とあります。受験ガイドの試験概要に照らすと、事前評価では「開発ライフサイクルとリリース計画」は劣後と考えてよさそうです(採点対象外か)
事前評価のサンプルシナリオはありますか?
FAQページに、アーキテクトレビューボード事前評価練習シナリオ「Patient Travel Support Foundation」が掲載されています。シナリオのボリューム、目次構成、プロジェクト概要・現在のシステム・各種要件の記載イメージの参考とできます。
CTA601v(有償トレーニング)
試験の概要についてはわかりました。では、試験で求められている「ソリューション」とはどのようなものを準備すればよいのでしょうか。私は、トレーニング CTA601v を受講したことで理解が深まりました。このトレーニングは受講必須と考えます。
trailheadacademy.salesforce.com
CTA601v では、半日 x 3日間、ワークショップ形式・宿題付きでレビューボードについて理解を深めていきます。ミニシナリオが用意され、実際に自分のソリューションを作成して翌日にプレゼン。
私が取り組んだときは、どの粒度で記載するのが妥当かわからない、要件に対して実現方法がすぐに浮かばないものがある、時間ばかり過ぎていく、と難しさに直面しました。これまで数々の認定資格は取得してきたものの、レビューボードのためにはまた違った筋肉が必要とされると感じました。
ソリューションを作成する際には、この3点は常に意識しておく必要があります。
identify - 要件を把握
solution - 解決策の提示
justification - 正当性を示す
また、全体的な整合性を保ったアーキテクチャを提案することも求められます。
CTA601vの受講者向けに、模擬レビューボードを実践できる場の提供、の施策も行われています。このChatter Groupに参加できることも、CTA601vの価値のひとつです。
動画でイメージをつかむ
海外の学習グループには、模擬レビューボードの録画をYouTubeに投稿されています。例えば、「CTA Mock」のワードで検索すると、Salesforce Apex Hours、Ladies Be Architects、Salesforce CTA - Gang of Four、そのほかいくつかのコンテンツが見つかります。答えを丸暗記しては意味がないのですが、ほかの受験者がどのような準備をして試験に臨んでいるかがわかります。読みやすい作図・わかりやすいプレゼン、のヒントもあるかもしれません。
https://www.youtube.com/results?search_query=CTA+Mock
動画をみて改めて思うことは、正解は一つではないということ。自分なりの考えをもってプレゼンすることが大事です。
【備える】以前より入手できる情報は増えた。あらかじめ準備できることは準備しよう
事前評価では、60分という限られた時間のなかで、「シナリオの読解とソリューションの設計、詳細決定、正当性の提示」をする必要があります。CTA601vで概要はわかりましたが、どう実践していけばよいのでしょうか。
Salesforce機能の理解(特に標準機能)
要件を把握(identify)したのち、複数の解決策候補(solution)を思い浮かべ、そのうちの一つを選択して正当性(justification)を示す。これを繰り返すことになります。そのため、あたりまえですがSalesforceの機能は知っておくべきです。もし、普段業務では利用しない標準機能があるならば、ハンズオンやSuperBadgeを利用して理解しておきましょう。選択した機能について正当性を示すためには、その機能が想定されているユースケースがわかると助けになります。たとえ機能として適合できそうでも、想定ユースケースと異なる利用方法をしてしまうと破綻するリスクが高くなってしまいます。
トレーニング
最近、アーキテクト系のトレーニングが追加されました。
私自身はこれらのトレーニングは受講していないのですが、受講されたかたのコメントによると、ソリューションの検討・正当性の評価に有用だったとのことです。
オンライン・リモートでの操作に慣れる
事前評価の受験日程を検討する時期になると、トレイルヘッドアカデミー事務局とも試験の詳細を確認・相談できるようになります(試験に用いるWeb会議ツール、オフィスツールなど)。私の場合は、Zoomのリモート制御機能を利用して試験監督のPCをリモート操作、オフィスツールはGoogle ドキュメント・スプレッドシート・スライドでした。※随時見直されていると思われるため、必ず確認するようにしてください。
試験テクニック的になるのですが、環境に慣れる練習は有用でした。日曜大工の工作をするまえに道具の使い方を覚えるようなものですね。
- Zoomでリモート制御する練習
- Zomの端末・アカウントを2台用意して練習しました。
- 日本語変換についてもコツがあります。トレイルヘッドアカデミーにナレッジがあり、御教示いただきました。
- Google ドキュメントのシナリオにソリューションキーを書き込む練習
- コメントか、本文に含めるか、色を変えるか
- 書式設定を使うか
- ショートカットキーを使うか
- Google スプレッドシートを使うかどうか。使う場合どう使うか
- シート、セル幅、セル内折り返し、数値の書式設定、なども決めておいたほうが本番に時短できます。
短時間でソリューションを設計する練習
短時間でアウトプットするための準備も必要です。以下のアウトプットを想定して練習しました。
- 作図(システムランドスケープ、データモデル、ロール階層、などなど)
- ソリューションキー(シナリオにソリューションと選定理由を記載)
作図(ツール)
作図に利用したツールは試験の採点には影響しません。Google スライドを利用してもいいのですが、私は紙に手書きを選択しました。
- 紙の種類、サイズ
- 私は、いくつかの用紙を試した結果、A4とA3のコピー用紙を用意しました。A3はシステムランドスケープ、データモデルの作図に使用。そのほかの図表にはA4を使いました。
- ペンの種類、色
- 描きやすさ、見やすさの観点で選びました。作図は写真に撮ってGoogleスライドに貼るため、細いと見づらく、太いと描きづらく。本番直前までいろんなペンを試しました。なお、鉛筆はNGのルールです(確か)
作図(鉄板ダイアグラム)
練習を重ねるうち、必ず作成する図がわかってきます。
- システムランドスケープ
- 現行システム・新システム、廃止システム・機能、連携ミドルウェア、IDP、AppExchange
- データモデル
- 標準・カスタム、主従・参照・論理的な関係、カーディナリティ(1:n)、OWD、LDV、外部Obj
- 主要な標準オブジェクト(取引先、取引先責任者、個人取引先、商談、商談商品、価格表エントリ、価格表、商品、見積、契約、注文、ケース、納入商品、、、)
- ロール階層
- 内部・外部
など、頻出コンポーネントの配置、色、凡例を決めておくとよいです。
シナリオ練習
Trailblazer Community で日本語化されたサンプルシナリオが公開されています。限られた時間のなかで、シナリオを読んでソリューションを作成することが求められます。これも練習です。
PDFで公開されているものも、試験本番はGoogle ドキュメントとなりますので、Google ドキュメントで開いて練習するのがおすすめです。
また、海外では、有志が公開しているシナリオもあるようです。Apex Hoursでも紹介されていました。
【マインド】試験テクニックだけでは合格できない。本質を知り、学び続け、継続してアップデートするマインドを持とう
ここまで、私が重ねてきた準備や、試験テクニック的な内容も一部ご紹介しました。私が思うに、試験に合格するためには、これらの準備は必ず助けになると思います。 しかしながら、要件に対する一問一答のソリューション提示や、テンプレの作図だけでは合格には届かないのでは、と考えています。
identify - 要件を把握
solution - 解決策の提示
justification - 正当性を示す
日頃から justification を意識して、なぜこのソリューションを提案するのが妥当なのか、を考え続けること。
Salesforceの機能も常にアップデートし続けるため、自身の知識も継続してアップデートしていくこと。
そうすることで、少しずつですが目標に近づけるのではないか、と考えています。
一緒に学んでいきましょう
2022/12/19(月・本日)、ミートアップです!(オンライン開催・募集中)
この記事は
Salesforce Advent Calendar 2022 の19日目の記事です。 qiita.com
後半、息切れした感がありますね。引き続き加筆していきます。
以下、試験対策に準備したものなどなど